抱樸館とは

●はじめに ~自己責任論社会をこえて~

 2008年秋のリーマンショック以来、世界は大きな経済危機に見舞われています。100年に一度の事態の中で困窮状態に追い込まれる人々は後を絶ちません。この危機の中でホームレス状態に陥る人、自殺に追い込まれる人が増え続けています。「自己責任論」が言われる時代にあって、一切の責任が「個人」に矮小化されています。その結果「社会の無責任化」、つまり社会には助ける責任がない、という風潮が進んでいます。
 社会福祉法人グリーンコープが理想とする「皆が助け合い、支えあい、共に生きていく地域」を実現するために、私たちはこの社会が「責任ある社会」であり続けるための取り組みを開始します。
 
その第一弾が、5月からスタートした「抱樸館福岡」です。抱樸館を通じてわたしたちは、誰もが安心して子を産み、育て、地域の人々と助けあっていける社会の実現を目指します。

●目的と働き

 定員は81名。入居期間は原則6か月です。入居に際しては生活保護等を利用し、入居後に就労サポートを行うことで、経済的自立を目指します。また、働けない高齢者の方等は生活保護や年金を利用して、安定した地域生活への移行を図ります。
 また、こうした安心して住める住居の確保、健康維持、就労のための様々なサポート、そして地域生活へと移行した後も続く支援による「ハウスレス状態(物理的困窮)」からの脱出に加え、抱樸館は生活困窮者の抱えるもう一つの課題、すなわち「関係における困窮」の解決に取り組みます。人は住まいや職を失うことによってのみ、絶望的な貧困状況に陥るわけではありません。その根源にあるのは、人と人との関わりを失うこと、すなわち関係や絆の喪失にあります。私たちは、それを「ホームレス(関係的困窮)」と呼んできました。抱樸館は、人と人との絆を結び直す場所となりたいと思っています。

●事業主体

 この事業を行うのは社会福祉法人グリーンコープです。グリーンコープ生協が中心となり、2003年3月に設立されました。グリーンコープ生協の組合員数は約40万人です。

●スタッフや職員の体制

 館長、生活相談員、事務員、調理スタッフ、宿直などのスタッフ体制で運営しております。24時間スタッフが常駐しますので、安心です。