ふくしサービスセンター びすけっと佐賀

やる気スイッチはどこ? “ともに行なう家事”で 体と心を動かす!

90歳を超えた一人暮らしの利用者Sさんは、後悔や愚痴をこぼしながら、ぼ~っと座って動こうとしません。そんな時、昔の話をよくします。
ヘルパー「息子さんが好きな食べ物はなんでしたか?」
Sさん「ハンバーグ」
ヘルパー「お母さんのハンバーグが大好きだったんですね」
また、あるときは、
ヘルパー「酢の物もおいしそうですね」
Sさん「お麩はあるかしら」
ヘルパー「お麩を酢の物に入れるんですか?」
Sさん「そうよ。よく母が作ってくれたのよ」
ヘルパー「教えてください。」

そうやって、Sさんがもっとも輝いていたころ、生き生きしていたころを思い出していただきます。そうすると、ぼ~っとしていたSさんが、目の前に調味料をもっていくと、「味はこんなんではなかったわ」「麩は半分に切るの」と心や手が動くのです。
平板になってしまう感情の水面(みなも)にさざ波を起こします。小さなことでも 人の手を借りてでも、できた実感を味わうこと。ヘルパーとともに味わうこと。その積み重ねで、ヘルパーは、本人のやる気スイッチが入ることを期待しています。
本人の気分がのらないときもあります。ヘルパーの働きかけが失敗することもあります。

でも、
昆布をハサミで切ることができた。
洗濯ものをたたむことができた。
豆の皮をむくことができた。
訪問介護の中でも大切なお仕事の1つ、"ともに行う家事"で、
小さな「できた」を増やしていただけるように、ヘルパーは今日も頑張ります。

※イラスト by ヘルパーのパートナーさん